コオニユリに囲まれて-千葉・多古光湿原

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7月、千葉県北東部にある横芝光町と多古町にまたがる「多古光湿原」を2回にわたり訪問した。初回訪問となった11日は、最高気温が30度近くになったがほぼ無風の一日で、猛暑の夏を感じる天候であった。今回は不定期な企画として「ウィキペディアツーリズムの試み」と名づけウィキペディアタウンではないツーリズムの試みでの訪問ある。開催は横須賀(2018年9月)、浦和(4月)に続き、3度目。同行者はのりまきさん・ふとまきさん夫妻と地衣類司書さんの4名で現地へ向かったのである。その2週間後には、横芝光町図書館でのウィキペディア編集講習会を開催することになっていた。

横須賀で開催した、ウィキペディアツーリズムの試みについては南陀楼綾繁さんが簡単にレポートしてくださっている。記事中に登場するフルカラーのリーフレットは、のりまきさんと私の合作である。というのと同時に、のりまきさんの前歴も垣間見えるので、是非ご覧いただきたいところである。

fugensha.jp

初回の訪問は食虫植物群落と“タコピザ”へ

訪問前日にあたる10日は翌日に備え、千葉駅前の宿泊施設を予約していたが、それ以外のスケジュールを全く調整していなかったこともあり、出発前夜になってどこに訪れたらよいか悩んでいたが、どうやらその日にスターダストレビューの40周年ツアーが予定されており、予定通り開催されるらしい。年末放送されている「クリスマスの約束」に影響されていた私は、スタレビのベストアルバムも手元にあり、せっかくだから、とお伺いすることにしたのだった。超ノリノリで終えたライブの夜は、かなりぐっすり就寝したことを覚えている。

翌日、千葉駅からのりまきさん・ふとまきさん夫妻と地衣類司書さんと車を走らせて、初めに訪れたのは、食虫植物が多く群集を成している「成東・東金食虫植物群落」である。ここは、1920年に国内初の天然記念物に指定されたエリアである。今年の時点で、約450種の植物が確認されており、その中には8種の食虫植物も植生している。散策できるエリアは約100メートルの遊歩道が2面にそれぞれ整備されていて、開放時間中は自由に散策することが出来る。食虫植物なんていうものは人生で初めて見た私はじっくり草叢の中を観察してしまい、猛暑なのにもかかわらず、先を歩く一行を逆放置するとともに、時間が過ぎることを忘れてしまっていた。約1時間の散策を終えると、身体は火照ってしまっていて2本あった水筒の中身は空っぽになっていた。

昼食の時間を迎えていたこともあり、ランチは「多古ピザ」に訪問。到着時には客席は満席で、外の座席に通してもらう。移動中は“たこピザを食べに行く”という会話が展開されていたことから、海の幸の「タコ」が山のように乗ったピザを食べさせられるのではないか、と妄想がうごめいていたところである。実際にはそんなことはなく、多くの種類から選べることが出来、我々も数種類のピザを選択し、リーズナブルな金額で実食することが出来た。もちろんデザートも忘れることなく、である。

湿原に向かう

お腹が満腹になった一行は、多古光湿原を目指す。湿原は、九十九里浜から数キロほどと近いところにあり、四季それぞれで植物たちが様々な表情を見せてくれる。湿原の中は遊歩道ではなく、自然探検隊が歩くような“道なき道”までとは程遠い土地を歩いていくのだが、一行からはあちらこちらから、多種多様な植物の名前が飛び交うが、隊列が長いことやそもそも何が離されているのかも聞こえてこない。動画用に撮影していたカメラにその会話が記録されていることを信じている*1

2回目の訪問

その2週間後(2回目)の25日も多古光湿原を訪れた。同じルートを歩くと、前回は足元が見えていたはずが、鬱蒼とした植物たちで足が取られる状況になっていた。草原の奥から脚立の上から湿原を眺めてみると、コオニユリの花が咲き乱れ、これはまた圧巻であった。これはドローンで撮影出来たら嬉しいと妄想が膨らむ。

ツーリズムに引き続き、ウィキペディア編集講習会企画が実施されたのは、6月に地衣類司書さんと仲間の皆さんが現地を訪れた際、たまたま現地にいらっしゃった「多古光湿原保存会」のみなさまと会談したことから始まった。会話を深めていくと、どうやら豊富な資料や写真が数多く保有しているということがわかったが、先方からは湿原の資料を使ってウィキペディアに載せてほしいという、執筆に関する話題があったこともあり、すかさず「講習会の開催を!」を叫んでくださったのであった。ここは「受け身にさせてはいけない」というみなさまの心意気に感謝している。

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湿原を見学したメンバーはコオニユリに囲まれて充実の表情

湿原を歩きつくした一行は、横芝光町図書館へ向かう。昼食を道の駅で済ませた後、図書館には、保存会の皆様以外にも「地域おこし協力隊」の皆様、図書館スタッフの皆様が参加者として会場に集結した。今回は、「ウィキペディアタウン」の開催の際に使用しているスライドを中心に、なぜ自分たちでデータをアップロードするのかという点も含めて説明。編集対象として地衣類司書さんが選んだ記事は「多古光湿原」「栗山川」「乾草沼」の3テーマ。横芝光町図書館や千葉県立図書館などにある所蔵資料から執筆対象を選定したという。実際、図書・書籍資料だけではなく新聞縮刷版なども多く並んでいたのが特徴的であった。

ja.wikipedia.org

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千葉県の太平洋側は、これまで車で通過することしか経験したことがなかった。正直、横芝光町ってどこやねん!と思って地図アプリを広げていたところだった。と同時に、まさか同月に2回も同じ町を訪れるということは想像していなかったのも事実である。今後も、多古光湿原をきっかけに地域アーカイブが少しでも進むことを願っている。

*1:執筆当時は動画の内容を全く確認できていない