すみだの図書館で #1lib1ref 研修を開催

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12月16日、墨田区の図書館で行われた研修会にゲストとしてお呼びいただいた。ウィキペディアタウンではない講習会は、ここ最近参加していなかったので、どんな内容になるのかは未知数だったがご満足いただけたようだ。

通常ウィキペディアタウンで説明している内容から要点を抜粋して説明した。今回の研修会ではウィキメディア財団が行っている取り組みの一つである“#1lib1ref”を館内研修企画として取り組んでしまおうという内容にした。

ja.wikipedia.org

この取り組みの趣旨である「司書一人につき出典一つ (One Librarian, One Reference)」の言葉通り、今回研修会に参加した20名全員が一つの出典を見つけることが出来れば、記事の信頼性は必ず上がるということを伝えて、実際の作業に臨んでもらった。

補足で説明したのは、図書館蔵書として保管しているパンフレット類はウィキペディアの出典として用いることが出来るかどうか、という点である。勿論ケースごとに議論する必要があるとは思うが、自治体や観光協会のウェブサイト等で同様の内容が掲出されている場合は、その内容をウェブ出典として用いることが出来ればベストである。図書館蔵書に加えて、ウェブページへのリンクがあることによって、閲覧者はウェブサイトからさらに詳しい資料や、関連項目へのマッチングも容易に進むことが出来るからである。ウェブへの掲出がない場合においては、図書館に蔵書されているということが必須として出典に用いることはやむを得ないと考えている。

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もう一点は、一つの文献だけではなく同様の情報が他の文献からも発見された場合には、重複で脚注を付与していいのかという点である。勿論、複数の脚注を付与して良いところだが、参照した文献で情報が子となる場合は要注意である。研修会では、ある事象(ここでは関東大震災による火災)による影響を受けた人数が、2冊ある文献で数千人違っているということがわかった。この場合はどのように記載するのがベストであろうかという話題になり、ウィキペディアでは「両論併記」を用いることが多いという説明を行ったところだ。

レクチャーを終えた後、今回の1lib1refの対象6記事が発表された。開始にあたって、A4用紙両面に分割印刷(4頁の内容を片面に収めて)したウィキペディアの記事を、実質先取りで選ぶ。研修参加者は制限時間40分の間に、自身で選択したウィキペディア記事の記述で出典・脚注がないところの典拠を所蔵から探すというミッションに挑む。時間は、あっという間に過ぎ去ってしまうというのは、ウィキペディアイベントあるあるではあるが、この研修も例外ではなく、もう少し時間が欲しそうな雰囲気は強く感じたが、時間は有限なのでやむを得ない。

それぞれの記事ごとに集まり、自身で探し出した典拠情報とその内容について5分でシェア、そのあと全体に向けても各テーブルから1~2分でシェアしていただいた。その発表をうかがっていると、最終的には、研修会参加者の全員が1refどころか、2ref・3refを見つけるという結果となり、上出来だと感じたところであった。今回は2時間の研修ということもあり、記事編集というところまでは至らなかったが、それでも満足していただけたようでありがたい限りであった。