屋外に設置された美術品のライセンス設定

これまで、アウトリーチでまち歩きしたり、文学館でエディタソンを開催するとやはり画像が使いたくなる時はあるのですが、ウィキペディアやウィキメディア・コモンズのサーバーはアメリカにあることでそのライセンスについては多少複雑になっています。きょうはそのなかから一例として、屋外美術品に関するニッチなルールを紹介します。原文についてはウィキペディア日本語版のプロジェクトページに掲載されていますので、内容をご確認ください。

初めに、屋外に設置された美術品というとどんなものを想像しますか?建築物、絵画、銅像、写真など該当させようと思えばいくらでも当てはまる気がします。ウィキメディア財団の規定では、日本・米国双方の著作権法を満たす必要があると定めています。日本では著作物の扱い(法律は疎いですが)では建築物は除かれ、それ以外の美術品は著作権で保護されています。

ja.wikipedia.org

製作者・撮影者などが亡くなって50年・70年経過するなどして著作権が切れていない、絵画、銅像、写真などについては、当たり前ですが著作権が存在することになります。これをウィキメディアプロジェクトに移入する場合には、著作権者の取り扱いを確認しておく必要があります。例えば、上野公園にある西郷隆盛さんの銅像は、1934年に逝去した高村光雲氏によって制作されています。高村氏は没後70年が経過しているため、上野公園の銅像は日本国で著作権が切れていることになります。つまり、西郷さんの没年とは関係ないですということです。

commons.wikimedia.org

もちろん、著作権者が許諾をした場合はその限りではなく、ウィキメディアプロジェクトに関わるボランティアが著作権の許諾を確認する制度があります(OTRSというシステムがあります)。 commons.wikimedia.org

その中でも、日本国内で50年・70年を経過していない美術品については、その物体自体を複製すること(など)をしない限りは自由に使用していいという例外規定があります(日本・著作権法(昭和45年法律第48号)46条)。もちろん、日本・米国法のどちらにおいても、「屋外美術写真はフリーではない」です。さらに、米国法では、前段のようなこれら屋外著作物の著作権の制限に関する明文の規定がありません。

そこで日本語版ウィキペディアでは、縦・横画素数サイズの積が31万にならないようにする、確実に1記事には掲出する、写している物(絵画、銅像、写真など)などの条件(屋外美術を被写体とする写真の利用方針)を付与した上で、日本語版ウィキペディアに直接であればアップロード(これを「ローカルアップロード」と呼んでいます)をすることを認めています。

今回の案件は、新潟のウィキペディアタウンで撮影した「川村修就」の銅像が1993年に設置され、製作者もご存命であったことから、この画像がウィキメディアコモンズではアップロードできないというものでした。

それでは、またウィキペディアタウンでお会いしましょう!