すみだで初めて「ウィキペディアタウン」が開催

6月18日、東京都墨田区初のウィキペディアタウンが開催。昨年(2021年)に行ったエディッタソンの経験者と主催者で行ったプレ開催を展開してきたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、開催時期を見定めていた。現時点では、感染が落ち着いたこともあり、一般公開にて開催することとなった。この運営チームには、すみだすみずみ堀りおこし隊や図書館の方など、私を含めて4名でプログラムを組み立てた。今回は「すみだ北斎美術館」を会場に開催し、約20名が参加して開催できた。

これまでの準備

開催に向けては、2021年2月と11月にプレイベントとして実施した。一般公開イベントに向けて、参加者人数も少しずつ増やしていった。特に2月はまだ感染状況が読めないこともあり、ハイブリッド開催で行った。この時のテーマは「すみだ北斎美術館」(2月)や「江島杉山神社」「回向院」(11月)など。

araisyohei.hatenadiary.org

また、11月のイベントを企画している際、すみだの図書館でも研修をしてみたいというご要望をいただいて、開催したのが12月に行った #1lib1ref の研修会。実際に司書さんと一緒にワークに取り組んだあの日は楽しい一日だったことを今でも鮮明に覚えている。

araisyohei.hatenadiary.org

いよいよ公開イベントとして

2回のプレ開催を踏まえ、つぎのターゲットを設定することにした運営チーム。まずは、予算措置をどうするのかというところで議論した。どうしても区内の会場かつ、東京都の新型コロナウイルスに関するガイドラインを遵守するなどとすると、広い会場が必要になる。そこで、さわやか福祉財団さんの助成金にエントリーすることとなり、助成を受けることができた。ただ、感染状況は落ち着く様相を見せることなく開催時期を決めることはできなかった。

www.sawayakazaidan.or.jp

運営メンバーのみなさまは2022年2月末に行われた「WikipediaLIB@信州#04 ~ウィキペディアタウンのつくりかた~」にもお誘い+ご参加してくださり、全国で行われているウィキペディアタウンを中心としたエディッタソンにご参加してくださった。今回の開催に向けて、多くを参考にしてくださったと思い、当日の登壇者として、ありがたい限りだった。

www.knowledge.pref.nagano.lg.jp

3月に行ったミーティングでまずは開催時期を決めることから始めた。このミーティングで、6月・12月に開催すること、執筆テーマの大まかな案(この時点では、プレ開催で取り組んだ北斎関係や江島杉山神社)、募集用のチラシを作ること、会場確認なども含めて月1回のペースでミーティングをすることとした。その後、ウィキペディアブンガクの開催がひと段落した5月、いよいよ広報用のチラシが完成。同時に申込フォームもオープン、またウィキメディア財団の皆様にもご協力いただき財団ブログ「Diff」にも掲載して参加者募集も開始した。

ご案内リーフレット / (C)すみほり隊
diff.wikimedia.org

ワークシートの題材

運営とのプログラム企画時での話題にもよるが、私自身が講師をさせていただく場合には、アカデミックライティングのワークを入れることにしている。今年のウィキペディアブンガクより前のイベントでは、架空の新聞記事を準備し、そこからウィキペディアの記事に用いることができる内容は何かをテーブルごとに議論してもらうというものだ。今回は「すみだ北斎美術館」を会場に開催する、ということもあり、昨年展覧会をおこなったしりあがり寿さんに関する記事を用いてワークショップを組み立てた。

www.asahi.com

www.tokyo-np.co.jp

当日の模様

運営スタッフは、開会前の9時に今回の資料を借用した墨田区立緑図書館に集合し、図書資料の運搬からスタート。会場入りすると、機材準備やレイアウト変更などをこなしていく。開始時間までに運営を含めて約20人が、すみだ北斎美術館の講座室に集合して、最初にテーブル分けを行った。これまでエディッタソンに数多く参加したことある方と初心者向けでテーブルを分けて着席していただいた。まち歩きが始まった。今回のまちあるきはプレ開催でも訪れた「江島杉山神社」。短い時間の中で往復し、ガイドの五味さんもかなりお話ししてくださった。運営側は時計と常に睨めっこしながら、美術館と神社を往復したのだった。

美術館に戻ったのち、初心者向けの皆様には、編集方針などのガイダンスを実施、前述したワークをテーブルごとで実施した。もう一方のチームは、スタートからお任せしてそれぞれ思い思いの記事執筆にチャレンジしていただいた。スケジュールより少し早めに午前のプログラムが終わったこともあり、ランチタイムへ。

私がお邪魔したのは、街歩きの途中でも気になっていたお蕎麦屋さん「穂乃香」。男子4人で鉄分とウィキ成分が多めの話題。それぞれのつながりはあるものの、4人一堂に会したことはなく、自分でも驚いてしまったところだった...。ここでは以降に予定されているエディッタソンやアウトリーチ活動に話題の花が咲く。

午後からは、スクリーン側ではミニ講座がスタート。なぜすみだは来たと南で歴史が分断されているのか、埋め立てられてきた歴史など、時間延長気味での講座が開催された。これ動画撮ってもよかったなぁ、と今になって思う。

編集にいそしんだ皆様は、自分が希望したところに着席して、もくもく作業。今回皆さんが書かれた記事をまとめていただいたところ、以下の通りとなった。

  1. (加筆)江島杉山神社  https://ja.wikipedia.org/wiki/江島杉山神社
  2. (加筆)弥勒寺 (墨田区)  https://ja.wikipedia.org/wiki/弥勒寺_(墨田区)
  3. (加筆)すみだ北斎美術館 https://ja.wikipedia.org/wiki/すみだ北斎美術館
  4. (新規)隅田川両岸景色図巻 https://ja.wikipedia.org/wiki/隅田川両岸景色図巻
  5. (加筆)すみだトリフォニーホール https://ja.wikipedia.org/wiki/すみだトリフォニーホール
  6. (新規)江東楽天地 https://ja.wikipedia.org/wiki/江東楽天地
  7. (加筆)東京楽天地  https://ja.wikipedia.org/wiki/東京楽天地
  8. (新規)江東劇場 https://ja.wikipedia.org/wiki/江東劇場
  9. (新規)本所映画館 https://ja.wikipedia.org/wiki/本所映画館
  10. (加筆)キネカ錦糸町 https://ja.wikipedia.org/wiki/キネカ錦糸町
  11. (新規)吉岡重三郎 https://ja.wikipedia.org/wiki/吉岡重三郎
  12. (新規)那波光正 https://ja.wikipedia.org/wiki/那波光正
  13. (新規)立花大正民家園 旧小山家住宅  https://ja.wikipedia.org/wiki/立花大正民家園_旧小山家住宅
  14. (加筆)隅田川 https://ja.wikipedia.org/wiki/隅田川
  15. 当日のメディア https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Wikipedia_Town_SUMIDA_2022-06

企画を終えて

エディッタソンを毎回終えると、疲労困憊になるのは致し方ないのだが、それ以上にご参加いただける皆様のエネルギーがあり、そこに応えようと毎回の打ち合わせと本番に臨ませていただいた。今回初めてお会いした皆様から、次回もぜひ開催してほしいというお話や次のテーマについてのアイディアが飛んでくるなど、すでに次に向けて動き出せそうだ。

タイムテーブルとにらめっこすると、もう少し江島杉山神社に長くいてもよかったとか、著作権の話をどこまでするかなどは現場で悩んでしまった。次回は地域の方ももっと混ぜた形になると思うので、どう対応していくべきか、運営の皆様とさらに詰めていきたい。

改めて、今回ご参加いただきました皆さま、告知・報告にあたりご協力いただいたウィキメディア財団の皆さまに御礼申し上げます。

この投稿は、私自身以外の著作物部分を除いて、クリエイティブコモンズライセンス(CC-BY)にて公開します。