たなつかでの発表をまとめました

1月20日、世の中はセンター試験が行われていましたが、ウィキペディアの18回目の誕生日をお祝いするイベント「ウィキペディアンが棚から一掴みをしてみたら」を開催しておりました。実際に、みなさんがご紹介した書籍とそのコメントをかける範囲で書き出しています(現在進行形)。会場では涙なしでは聞けない話、感嘆の声があふれる話など、とてもたのしかったのですが、私の文章能力ではそれをうまくお伝えすることが出来ないのが大変申し訳ないところです。表紙はAmazonページにリンクしています。

【さえぼー】ふらんす 80年の回想―1925‐2005

語学雑誌としては最古参である「ふらんす」。創刊から2005年までの記事から雑誌の来歴が振り替えられる記事を抜粋して、解説を入れ、集約している。当時も現在も雑誌がフランス語圏の研究者の出世記事になっている。

実際のところ、出版社である白水社が第二次世界大戦で戦災を受けて、さまざまな図書館から支援を受けたこともあった。

さて、この資料から雑誌「ふらんす」の記事を執筆するにあたり、「独立した二次資料」からウィキペディアに記載しなければならないのだが、困るのはあくまで編集部が出しているという点で、つまり二次資料ではない。というとところで、新聞にこの資料に関する書評がないかを探した。

さらに、白水社からの協力で図版の撮影をさせていただいたり、各種資料を頂戴したりとしたが、宣伝にならないようにかなり気を付けた。

【Mogumin】飛行機の百科事典

航空分野の記事を書くときに、さまざまな本がある。趣味で調べるとやたら細かいところは知っている。しかしながら、同じ分野でも隣の話題・キーワードのことは知らない。ということもある。

今回は、百科事典の書くときに選んだ百科事典を紹介することにした。飛行機に関する事項を網羅的に把握されている。執筆者・編者も多種多様な顔ぶれ95名。本の中身は、旅客機運用の過程(搭乗、エンジンスタートから駐機)に沿って、説明されている。

(様々な事例紹介をいただいたのですが、文字化するより聞くことに浮気してしまいました)

なにもかもが書いてあるわけではない。ですが、興味の対象に取り組みための幹の一冊になっている。

【漱石の猫】明治末期の暮らし―丹後の宮津にのこされた資料より

著者は1932年京都生まれ、滋賀女子短大でフランス語の先生。著者の父が宮津市の出身。宮津市に住んでいた父が10代に書いていた日記をベースに構成される。日記から当時の暮らしが垣間見える。

「和貴宮神社」の記事でこの書籍を使った。過去は分宮や別宮という漢字を用いていた。どうやら、平成4年には現在の漢字になっている。

この本のもとになった日記は、お父様亡くなったのちに大部分が奥様(お母さま)によって処分されてしまっている。普通はそうかな、と思いつつもしかしなから、町人の日記がこうやって本になって受け継がれているのは、素晴らしいと思いながらも、残念だと思っている。

【のりまき】黒衣の短歌史 - 中井英夫全集 第10巻

中條ふみ子の記事を昨年末から手掛けることにした。中條は恋の達人。そんな記事、自分で書けるのかなと思った。

(短歌にうっとりして、わたしはキーボードをたたくことができない)

なぜ、師となる中井英夫はなぜ中條ふみ子を作家として見出したのか。既成短歌の殻を破ることを求めたのか。中條は34歳でこの世を去った。

現代では、「空気を読む人」がもてはやされているが、ある意味で先輩を飛び越し、なでられている手を食いちぎるような信念が必要なのではないか、のりまきは語った。

【アリオト】経度への挑戦

イギリスで経度委員会がうまい方法を考えた方に賞金を与えることにしたが、まったくもってよいアイディアが出てこなかった。

当時書かれたガリヴァー旅行記では、経度測定法や永久運動と並んで解決ができない問題として挙げていた。

月距法についても開発が進んだが、物語的には時計と月距法との運命の戦い、が描かれている。

(スケッチブックの紙芝居がいっぱい出てきて、さすがに即文字おこしが出来ない...)

そんなわけで、この本の内容は「経度の歴史」に書かせていただいた。

【逃亡者】地球の秘密―SECRET OF THE EARTH

ウィキペディアでの今後の活動の方向を決定づけた一冊。

12歳の女の子が書いた本、33頁。学校の人気者で、研究熱心、絵を描くことが好き。そんな彼女に学校で宿題が出る。それは環境問題についてまとめること。方法は問わない。児童は思い思いの方法でまとめる。彼女も紙媒体にまとめようと考えていた。しかし、彼女の信念は「他の人と同じではないけない」。やはり、絵で宿題をすることにした。

しかし、着色作業だけを残し完成間近となった1991年12月25日、彼女は頭痛を訴え、その夜突然の死を迎えることになる。着色は母が仕上げ、その後校内で印刷・配布された。

校内からメディアに広がり、国内・海外にも広がることになる。発刊された本は「地球の秘密」として、多くの言語に翻訳されている。日本国内でも意思を継ごうとして、ミュージカルまで開催されている。

さて、誰もウィキペディアに書かれていないのであれば、自分で書く。と決めた。今回お話ししな内容は「地球の秘密」にしっかり書かせていただきました。

さいごに、今回の登壇されるみなさんの書く記事はすごい。と思ったときに「他の人で同じではいけない。自分らしさを大切にしたい」という彼女のメッセージを改めて感じた。自分らしくでいいのだと。

この本を通じて、地球を守ること、それだけではなく自分を大切にすることを学んだのだ。

【Swanee】豹と兵隊―野性に勝った愛情の奇跡

成岡は日中戦争時に出兵していた。成岡がいた部隊と人を食うヒョウを殺す任務に就いたが、ある猛獣の習性、大きくなるが、最終的には上野動物園に送られることになる。(続く、というか涙なしで打てなくて実況断念)

【さかおり】風土病との闘い

60年近く前の書籍、新書の本ではあるが、テレビもラジオもない時代にあった病気の歴史を書かれている。

目次には様々な病気のタイトルが並んでいる。実際これらの本は一般書として書かれるべきだろうと感じるのだが、論文で終わってしまっていることもある。

著者、佐々学は、風土病について医学面に限らず、地域にある文化・風習も含めての言葉だと定義している。

四国でもツツガムシ病があったことも佐々学が書籍に書いている。外国の病気とされていたものが、日本にもあったりした。

医学の領域の莫大な論文があるが、医学の研究がこのように身近な本になってくれると嬉しい。